[開設 07/15/98 =MM/DD/YY] [更新 11/17/07]

マグロウヒル大学演習シリーズ
リプシュッツ著
「離散数学:コンピュータ・サイエンスの基礎数学」
オーム社刊
(1994 年 以前はマグロウヒル刊)
正誤表

これは,室伏が勝手に作成した正誤表で,訳者,オーム社等 未公認のものです.
この正誤表は, 電気通信大学 電子情報学科「離散数学」1994‐95 年度 受講学生, 東京工業大学 大学院 知能システム科学専攻「離散システム論」受講学生 と室伏によるものです.
誤りを見つけてくださった 両大学の受講学生の皆さんに深謝いたします.
なお,このページへの記載は室伏によるものですので, この正誤表に誤りがあるとすれば, その責任は室伏にあります.

厳密には誤りの訂正とは言えない,言いまわしの改善も含まれています。

誤りではないが 注意が必要な事項, 定義が書かれていない記法などについて, このページの最後に注釈をつけています.

テキストに下記以外の誤りを見つけた方, この正誤表自体に誤りを見つけた方は, 室伏(murofusi "at mark "dot" c "dot" titech "dot" ac "dot" jp ("at mark" -> @ / "dot" -> .))まで ご連絡いただければ幸いです.
場所 備 考
p.8 ↑3 部分集合 部分族 削除
p.34 ↓8 2.8 2.7 置換
p.34 ↑14 A の同値類 a の同値類 置換
p.47 ↓1 R が対称的ならば R空でなく対称的ならば 挿入
p.47 2.37 ∖∅ [] 挿入
p.53 ↓14 injective injection 置換
修正は,上段か下段の どちらか一方のみを採用
injective function 挿入
p.53 ↓14 surjective surjection 置換
修正は,上段か下段の どちらか一方のみを採用
surjective function 挿入
p.53 ↓15 bijective bijection 置換
修正は,上段か下段の どちらか一方のみを採用
bijective function 挿入
p.55 ↓2 (−∞, n ) (−∞,n ] 置換
p.139 ↑18 小道 (trail) は 異なる弧を持つ 小道 (trail) は すべての弧が互いに異なる 置換
p.139 ↑17 (path) は 異なる頂点を持つ (path) は すべての頂点が互いに異なる 置換
p.139 ↑16–17 閉路 (cycle) は 異なる頂点(始点と終点は除く)を持つ 閉路 (cycle) は 終点を除いた すべての頂点が互いに異なる 置換
p.139 ↑16 v 到達可能 v から到達可能 置換
p.189 ↓17 置換
p.190 ↑7 0・a = a 0・a = 0 置換
p.192 9.1.[解](b) ab=bc ab=ba 置換
p.196 9.11[解](c) φ3σ2 = φ3 σ3σ2 = φ3 置換
p.196 9.11[解](e) 任意の要素で どの要素からも 置換
p.197 9.12[解](c) gp(2) = {1, 2, 3}. gp(2) = {1, 2, 4}. 置換
p.199 9.19[解] g q 置換
p.211 ↓10 である関数 である1対1の関数 挿入
p.211 ↑10 aの後に a真の 後に 挿入
p.211 ↑8 bの前に b真の 前に 挿入
p.211 ↑6 y は唯一つの v は唯一つの 置換
p.214 図10-4 ({b} と {a, c} を結ぶ線)   削除
p.215 ↑14 双対原理により   削除
(下の注釈も参照のこと)
p.216 ↓2  言い換えると,a≠0 が結び既約 言い換えると,有限束において a≠0 が結び既約 挿入
(下の注釈も参照のこと)
p.216 ↓7 di d i 置換
p.217 ↓2 y = x∨0 x = x∨0 置換
p.217 定理10.10 相補束 有限相補束 挿入
p.220 ↓12 f(a) + 1 max { f(a) | a<b) } + 1 置換
p.220 ↓12 a が真に b の前のとき b の真の前に要素があるとき 置換
p.220 ↓13 b の前に要素がないとき b真の前に要素がないとき 挿入
p.222 ↑2 相補束 有限相補束 挿入
p.223 ↓1 であり,原子では であり,0 ではなく,原子では 挿入
p.223 ↓3 b′=b b′=b 置換
p.223 ↓3 bb′=I bb′=I 置換
p.223 ↓10 L の結び既約な    L 0 ではない結び既約な 挿入
(下の注釈も参照のこと)
p.223 10.17. (b) 線形順序集合 線形順序部分集合 挿入
p.226 10.34. (a) 9 個の 12 個の 置換
p.226 10.34. (b) 12 個の 15 個の 置換
p.227 10.25 (b) (i) a, b, e, 0, a, b, c, 0, 置換
p.228 10.34 (a)   { 2, 314 },
{ 2, 413 },
{ 3, 412 } 
3 個 追加.
p.232 真理値表
(d)
p q
T T
F T
F F
F F
p q
T T
T F
F T
F F
3 箇所 置換
p.232 一番下 左側の真理値表
p p pp
p p pp
置換
p.241 11.13.[解] (d) 〜(pq) 〜(pq) 挿入
p.241 11.14.[解] pp pq 置換
p.248 11.49. (a) 6 が偶数ならば 6 が奇数ならば 置換
p.248 11.52. p∧(pr) p∧(qr) 置換
p.249 11.37. (b) pq pq 削除
p.252 ↓4 l cm(a,b) lcm(a,b) 字間 詰め
p.252 ↓8 例 11.2 (c) 例 12.2 (c) 置換
p.263 12.2 l cm(a,b) lcm(a,b) 字間 詰め
p.263 12.3.[解] (a) 47, 42, 置換
p.275 12.30. (a) xz , xz, 挿入


注釈


p. 9 ↓6
この本では, 括弧が入れ子になって読み難くなるため, 集合族の外側のかっこを [ ] にして
[ {a}, {a,b}, {c} ]
などと書いていますが, 普通は,読み難くても [ ] は使わず
{ {a}, {a,b}, {c} }
と書きます.

p. 50 ↓9
この本では, f : AB の集合 B値域 (codomain) と呼んでいますが, 普通 B は値域とは呼びません(ごく希に そう呼ぶ人もいますが). codomain は 終集合,終域,補域,余域,余定義域などと訳されており, カタカナで コドメイン と書く人もいます.
念のために書いておくと, 普通,値域とは 定義域 Af による像 f(A) = { f(x) | xA } のことを言い, これを Rng(f) とか Range(f) と書きます. 常に Rng(f) ⊂ B ですが, Rng(f) = B とは限りません. Rng(f) = B のとき, f : AB を全射(または上への写像) と言います.

p. 55 補充問題 3.48 (b)
この本には |A| ≦ |B| の定義がありませんが, この本の基数の説明からすると, これは A から B への単射が存在することと 解釈してよいです.
実際, 原書 第2版,第3版では そのように定義しています.

p. 215 10.5 有界束
この本では, 全体集合の下界を 0(ゼロ), 上界を I(アイ)で表していますが, 普通は, 全体集合の下界を 0(ゼロ)で表すときには 上界を 1(イチ)で表し, 上界を I(アイ)で表すときには 下界を O(オー)で表します.

p. 215 ↑14
該当箇所の「双対原理により 条件(4a)をみたす必要十分条件は(4b)をみたすことであることに注意せよ」(下線 引用者)は, 不適切な表現です. 「互いに双対な条件は同値である」と誤解しかねないからです. 例えば,
(a) 最大元が存在する
(b) 最小元が存在する
は互いに双対な条件ですが, (a)と(b)は同値ではありません; 実際, 通常の順序をもつ正の整数の全体Nには最小元 1 が存在しますが,最大元は存在しません (注:無限大∞は整数ではありません).
テキストの
(4a) ∀a, b, c ;  a∧(bc) =(ab)∨(ac)
(4b) ∀a, b, c ;  a∨(bc) =(ab)∧(ac)
は互いに双対な条件であり,さらに互いに同値ですが, その同値性は直接的な双対原理によるものではありません.
念のため,同値性の証明をここに記します.

p. 215 ↑4〜↑2
この本の定義では全体集合 L の下界 0 は結び既約ですが, 下界 0 は結び既約でないとする定義もあります. その場合,aL が結び既約とは, 「a = xy ならば a=x または a=y であって,かつ a≠0 であること」と定義されます.

p. 216 ↓2
束が有限でない場合, a≠0 が結び既約であっても, 直前の要素を持つとは限らない. 例えば, 通常の順序をもつ実数区間 [0,1] において, すべての要素は,結び既約であり, 直前の要素を持たない.

なお, 原書 第3版の正誤表(工事中)は こちらです.

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